友人は寺へ行った

Yohei2004-10-12


今年の4月の話だけど、実家が寺でさらに長男なので逃げ回ったが、とうとう修行へと出されてしまった友人がいる。修行に行く前に本人から聞いた話では 最低3年はお山に篭って修行しなければならないとか。 その友人の実家の寺の名前は失念したが、かなり大きなお寺らしい。 大きいお寺だと3年では何というか、ハクがつかないので 「まぁ5年は出られないだろうな」と言っていた。

修行僧が修行する場所を僧堂と言うそうだが、そこは完全な縦社会。
俗世でどんな社会的地位があろうが何歳だろうが 1年目よりも2年目が偉いし、また同期でも僧堂に1秒でも早く入ったほうが偉い。 つまり僧堂に入る時期と言うのもポイントなんだそうで。 早く入りすぎると一番上で責任が重くなるし、遅いと下っ端。 だいたい3月から4月頃にかけて新入生が集まるので その友人の親などが一番いい時期をみて入れてくれると言っていた。

山篭り前、その友人が「聞いた話だと最初の1週間がダルい」と言う。 僧堂に入るときの儀式というか、慣わしがあって 修行しに来たのだから僧堂の入り口で「お願いいたします」と寺の人を呼ぶわけだが出てこない。 何時間かすると出てきてはくれるのだが 「いや、ここは君たちのような人の来るところではないから」と取り合ってもらえないらしい。 当然帰るわけにもいかないので、また繰り返し。 夜になると「じゃあ今日は遅いから泊まっていきなさい」と中へ入れてくれるが朝になると「じゃあ、帰りなさい」とくるので「いや、いや、いや…」と引き下がってまたループ。

これが1週間続くのだとか。

この夏にお休みをもらったらしくその友人と久しぶりに会うことが出来た。 さぞかしストイックな生活を送っていたのだろうと訊いたが全然違った。 いや、ストイックと言えばストイックなのだけど、ベクトルが違うと言うか…

まずお寺の中はルールだらけ。 飯の食い方、風呂の入り方、殆ど全ての動作に決まりがあるとか。 牛乳パックの正しいあけ方まであるのが理解できないと言っていた。 毎日3時間足らずの睡眠で後は禅をしたり肉体労働をしたり。 集団で寝泊りしているので一人の時間は皆無。その間にお経だって一言一句違わずに覚えなきゃいけない。 これも飯の前とか、色々場面によってたくさん種類があるんだそう。 以上のことを一つでもトチると先輩から罵詈雑言を浴びせられる。 フルメタルジャケットの台詞に「地球上で最下等の生命体だ !」というのがあるが 僧堂では正にそんな扱い。 実際に、先輩の目を見てはいけないし、2年以上離れた人には話すことすらできない。 話すときも「お願いいたします〜(本文)〜お願いいたします」と必ず言う。 これなんか正に「口でクソ垂れる前と後ろにSirをつけろ」と同じルール。 彼の同期の内2人は2週間ほどで夜逃げしたが、どちらも年配の人だったとか。 やはり年寄りには辛いらしい。

かなり質素な食生活を送っていると思っていたけど実際は檀家さん等が肉をご馳走してくれたりするらしい。ただし出されたものを残すことは許されない。というか基本的に出てくる食い物の量はハンパないので食えなくなったら吐きに行き、また食べるというのが茶飯事とか。俺が「納豆とか大丈夫か?お前死ぬほど嫌いだったろう?」と訊くと「納豆アレルギーの奴でも食ってるから文句は言えない」と言っていた。「ケンタッキーとか肉はしばらく見たくない」とも。因みに携帯とか、もちろん禁止だけど、どうやって持ち込んだのか先輩たちの間ではゲームボーイアドバンス流行ってるらしい。こんな風に、長く居れば居るだけ楽になるみたいだ。

二人でファミレスに行ったが「ああ、もう自分のペースで好きなもの食べていいんだ!」と喜んでいる彼の笑顔が印象的だった。体は一回り大きくなったような気がしたが基本的には変わっていなくてホッとした。

参考:※僕らの知らない生活をする人たち※(2ch)
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