映画の台詞から

ダーティハリーのキメ台詞と言えば

Go ahead, Make my day.

である事は、その辺の小学生でも知っている常識ですが、この台詞、字幕や吹替えだと「やってみろ」とか「俺を楽しませてくれ」とか訳されている。しかしながら原文の意味を考えると字幕や吹替えには現れない、非常に面白いニュアンスの台詞であることがわかってくるるわけです。


直訳すると「やれ、俺の一日を作れ」。これじゃちょっと意味不明。大事なのはシュチュエーションです。この台詞を言うときハリー・キャラハンは44マグナムの銃口を相手に突きつけており、相手も銃を構えている。その状況を考慮して先ほどの台詞を反芻すると解釈が変わってきます。つまり

「俺に銃を撃たせて、俺の一日を始めさせてくれよ」

と言っている。さらに穿つと、「俺にとっちゃ発砲なんざ日課のようなものなんだ。さっさと俺にピストルを撃たせてくれよ」という意味にとれる。一応刑事ですから相手が発砲してきてから撃つつもりなワケですが、どうでしょうこのハードボイルドさ。数多の死線を潜り抜けてきた漢(おとこ)の持つ凄みと諦念とが混ざり合った複雑な感情が読み取れる名台詞ですよ。
これを実生活のちょっとした場面で使えると、己のハードボイル度がグッとアップすることうけあいです。俺は今度アメリカ人のお年寄りに席を譲る時に言おう。